オーバークロック






それは禁断の技。
悪魔のささやき。
高き山。
PC自作を目指した漢たちなら、
登れ
登れ
本能がそう叫ぶ。
登った先にあるものは栄光か、
破滅と後悔か・・・









 CPUを、定格よりも大きい周波数でこき使う、メーカーの人が聞いたら怒りそうな技のことである。
そんなに大げさなことじゃないが、当然ながらCPUが壊れる可能性も大いに含んでいる。
保障は、当然ことながら無い。あってたまるか!

 CPUのスピードは、FSB(ベースクロック)×内部倍率で決定される。
1.73GHzのCPUなら133×13、866MHzなら133×6.5などなど。
オーバークロックとは、そのベースクロックや倍率を変更してスピードを上げることである。



かつてAthlonのコアは

1500+〜2100+ 2200+ 2400+〜
コア Palomino Thoroughbred-A Thoroughbred-B

Throughbred A-Stepping
 Palomino(180nm)を130nmでシュリンクしたコア。Thoroughbred初期コア。
 せかされるAMDがあせって出したコア。
 真皿に比べて同電圧時消費電力が少ない。そして定格の電圧は真皿比で低く設定されている。
 現在1400+〜2200+まではPalomino、Thoroughbred-A,Bコアが混在している。

Thoroughbred B-Stepping
 A-Steppingにメタルレイヤーを1層追加し、より高クロックを狙えるようにしたもの。
 現状ではこれのL2キャッシュが512kになったものがBartonであるるといわれている。
 2100+(Thoroughbred) 2400+以上は全てコレにあたり 現在1700や1800でも確認されている。

みたいな感じだった。

Palominoの後に、プロセスを微細化して発熱などを改善したThoroughbred-Aコアが登場した。
性能は当然Thoroughbredのほうがいいのである。
さらに、製造コストがThoroughbredのほうが安いのである。
そこでAMDは、2100+以前の製品に対しても、Thoroughbredを使用したリニューアルバージョンに置き換えていった。

去年末から、ついに2100+もThoroughbred-Bコアになった。
2400+以降に使われているコアである。2100+で動かすには余力があると考えて当然でしょう。





 どうも内部倍率がマザーボード側で変更できない上に、CPU上のブリッジをいじる自信が無かったので、FSBをいじることに専念することにした。

1)とりあえずやってみよう

 何はともあれ実践!

 いきなり大幅にベースクロックを変えて壊れてもいやなので、133→140と、小規模なオーバークロックをしてみた。

 Athlon2100+は、通常は、FSB 133MHz×内部倍率 13 = 1.73GHzで動作する。
FSBを140MHzに変更したことにより、140MHz×13=1.82GHzとなった。

動作は特に変化無く、相変わらず安定している。
CPU温度もほぼ変化なし。

まだまだ余裕がありそうだ。


2)一歩ふみ込む

 一気に、FSBを150MHzに設定した。1.95GHzである2400+(2万円少々)とほぼ同等の性能である。

 おそるおそる起動してみた。
余裕で安定している。
いろいろと負荷をかけてみたが、特に問題なし。CPU温度は約35℃まで上昇した。
まだまだ余裕なのか?

定格時に比べて、

3D Mark 2001 SE のスコア : 8015→8762にアップ!
FINAL FANTASY XI for Windows オフィシャルベンチマークソフト : 4480→4743にアップ!

 なぜビデオカードに依存するグラフィック系のベンチマークをしたのかわからないが、とにかく性能はだいぶアップしている。


3)怖いもの見たさ

 FSB166MHzに挑戦。

成功すれば、2700+(4万円くらい)並みの性能を手にすることができる。ちなみに、この2100+は12600円。

 コア電圧を少し上げ、1.65Vにしたところ、OSが起動!!


システムのプロパティを見たら、確かに2700+と表示されている。



こちらでも同様に!




SANDRAのベンチマークをとりあえず完走。

 はたして性能はどの程度上がっているか?

5種類のCPUについて比較してあり、それぞれ上のグラフが整数演算、下のグラフが浮動小数点演算である。

 一番上から、
オーバークロックしたAthlon 2100+
Athlon 2200+
Athlon 2600+
Pentium4 2.66GHz (\35,000)
Pentium4 2.8GHz (\45,000)
となっている。

大したものではないか!




ちなみに、この場合でもCPUはそんなに熱を持っていなかった。
いじめ抜いても約40℃
さらなるクロックを目指すのもいいかも。